沈黙



後輩に薦められて買った遠藤周作の『沈黙』。


沈黙 (新潮文庫)


一言で言うと「非常に重かった」。

小説の時代背景は、江戸初期。
幕府によってキリスト教が禁止され、宣教師やクリスチャンに対して
凄惨な弾圧が繰り広げられていた時代。


極東の島国、日本において宣教師の第一人者であったフェレイラが
幕府の弾圧に屈して棄教(キリスト教徒を辞めること)したとの知らせがポルトガルに伝わる。


フェレイラの弟子であるロドリゴが、その真否を確かめに
そして何より全ての司祭が捕まるか殺された日本において信者達の道しるべになるべく
2人の宣教師と共に、見つかれば殺されるかもしれない鎖国、日本を目指す。


何とか日本へ潜入することに成功したロドリゴが見たものとは・・・・。


歴史小説が好きな自分には、この時代の背景を想像することは難しくなかったが
今までの本は全て日本人が主人公のもの。宣教師に対する関心も無かった。


しかし今回読んだ『沈黙』はポルトガルの宣教師の目から見た異国・日本であり
この視点は自分にとって今までに無いもので、非常に興味深く、新鮮でもあった。


読み始めた当初は、いるかどうかも定かではない日本のキリスト教徒のために
捕まれば拷問の末に死ぬかもしれない危険を冒して、司祭という聖職と自身の志を
まっとうすべく日本へ潜入したロドリゴに対して尊敬の念をもっていた。


だが、これはそんな簡単な小説ではなかった。
読み進めるうちに息苦しくなってくる。


それでも終わりが気になって、最後まで読んだ。
しかし、その最後を読んだ後は、さらに気持ちが暗くなった。


読み終わった後、本のことを考えるのが辛くなったほど。
決してバッドエンドではない。いや、なかったのかな。わからない。
当初のロドリゴの志を思えば思うほど、わからなくなる。


読み終わったのは昨日だけども、昨日は書けなかった。
今もこの書評を書きながら、話を思い出すとボディーブローのように
息苦しさが迫ってくる。


この本を人に薦められるのか薦められないのか分からない。


ただ、もちろん自分は読んで後悔していない。
今までに読んだことのなかったタイプの本で、
改めて考えると読んでよかったな、とだけは思える。


うーん、難しい本だなww


沈黙 (新潮文庫)

沈黙 (新潮文庫)