電波利権

電波利権』を読了。

NHK社員にして上武大学大学院教授でネット上の論客として有名な池田信夫氏の著書。

「電波」という観点から見ると、テレビ局はとてつもない「既得権益集団」である。タダで貰った電波を無駄遣いする、電波利用料を携帯会社にツケ回す、政治家に媚を売り新規参入を妨害する、ほとんど無意味な「デジタル化」を進めてインターネット放送を潰す……。公共財であるべき「電波」が私物化されているのだ。「電波利権」の驚くべき構造を描き出し、「電波開放への道」も提言する論争の書。


電波についてこれほどまで考えたことがなかった。

テレビ放送が始まってから50年以上たっているのに、倒産も合併・買収も一度もないという特異な業界に切り込んでいる本。
ビジネスモデルだけではなく、「電波」を技術的にも分かりやすく説明し
何が問題なのかをきっちり紹介してくれている。
(たまに聞くヘルツという単位が何なのかやっと分かったw)


それにしても、僕らはなんて情報源が少ないんだろうと感じざるを得ない。
マスコミを情報源にしている大多数の人にとって、マスコミ全体が知られたくない
情報を知るすべはない。


そして本書はそういった暗部の切り込みだけでなく、未来への提言も行われている。
テレビ局への提言ではなく、電波利用の提言であるところが素敵だった。


日本の電波が、放送が、どういう方向に進めばいいのか
それを考えるための前提知識を、議論を、自分の中に組み込むための助けになる本だ。