2ちゃんねるはなぜ潰れないのか

2ちゃんねるはなぜ潰れないのか?を読了。

魅力に抗えずに.comMasterの参考書を読まずに読んだ。


本書は「2ちゃんねる」の管理人であり、いま大反響のニコニコ動画を運営しているニワンゴ取締役のひろゆき氏(西村博之)が書いた本。

読後感としては、今までこんな新書は読んだことがないw という感じ。


ひろゆき氏のブログが本になったようでもある。
※ホントにブログが本になったわけではないです。


なんというか、ひろゆき氏の所感が各テーマ毎に綴られているのだけど
「こうである」とか「こうなるだろう」という論調ではなく、「僕はこう思うんだけど、どう思います?」とか「こう思うんだけど、どうなんだろ・・・」みたいな論調なので、ひろゆき氏の考え・・・というか所感?を知ることは出来るんだけど、特に確たるデータに基づいて何かを語るわけではない。

なのでblogのようだな、と。

かといって読み応えが無いかと言われれば、真っ向から否定する。
少なくとも自分にとっては、読んで得るものはあった。


本書は2つのカテゴリーで構成されている。
1つはひろゆき氏の所感(笑
2つ目は、2つの対談の収録

両カテゴリーとも読むことで色々な視点を見ることが出来た。
ひろゆき氏の所感で特に印象的だったのは、Web2.0と言われるものやインターネットの未来に関してとても冷めていること。
技術的な視野で見るとここ何年も特に進化してないよね?進歩はしたけど。みたいな論調。
どうしてそんなに熱狂してるのよ、みんな?みたいな感じw
そして今もっともノッているネット企業Googleに対しても、技術力自体は大したことない。あれは、企画力と営業力で勝利した会社だよ、技術じゃないよ。と断ずる。


2つの対談のうちの1つ目の対談で、ITジャーナリストで有名な佐々木さんに
「西村さんの言っていることは、身も蓋も無さすぎてついていけない」と言われるぐらいクールにネットのことを見ているし、その理由、どうなれば解決できるか、でも解決されないだろう理由を論理的に語っている。


ここまでネットに対してクールなのは、この数年間を2ちゃんねるの管理人として流行の初期からネット産業の栄枯盛衰を色々見てきたし、技術の話も分かるし、実際にいくつものサービスを自分の力で流行らせてきたこともあるという実績が、最近のネットへの世間の熱狂ぶりに対して冷めた目で見させているのかなぁとも感じる。


ちなみに2つ目の対談であったカリスマプログラマー小飼弾氏(元ライブドアCTO)との対談(かなりページが割かれている)では、2ちゃんねるの意義から始まり為政者の資格や、優秀な技術者は優秀な経営者になれるか等、飲みながら話したのか?と思うぐらい話がいろいろ拡散している。
が、どれも説得力に富みエキサイティングな話になっている。プログラムを知らない人が読んだら分からない箇所もおおいにあるかと思うけど、この本の中で最も読み応えのあった章かな、と思う。

その中で印象に残っているのは
・結局、インターネットがしたことって世界を極端に狭くしたことだよね
・みんなデバイスに縛られている。デバイスを変えることも考えて考えなきゃいけない
みたいなこと。


この本を読んで、かなり視野を狭くしたまま世界を見ていたことに気づかされた。
とりあえず自分で読むことをオススメです。


下記、目次。ご参考に。

2ちゃんねるはなぜ潰れないのか?
目次
[1.0]:まずは結論
[2.0]:ITのウソ
[3.0]:明るい未来への誤解を解く
[4.0]:対談 佐々木俊尚(ITジャーナリストの第一人者)×ひろゆき
[5.0]:間違いだらけの法律
[6.0]:メディアと2ちゃんねる
[7.0]:対談 小飼弾(カリスマプログラマー)×ひろゆき


著者プロフィール
ひろゆき(本名・西村博之)●1976年生まれ。中央大学在学中に米アーカンソーに留学。1999年5月にインターネットの匿名掲示板『2ちゃんねる』を開設。東京プラス代表取締役未来検索ブラジル取締役などで企画立案、プログラマーとして活躍。2006年に、ニワンゴから動画サービス『ニコニコ動画』をスタート。著書に『元祖しゃちょう日記』(講談社)、牧野和夫弁護士との共著に『2ちゃんねるで学ぶ著作権』(アスキー)など